Utopia League×松本花奈監督

​10月14日(土)下北沢近松にて上映決定

「Beer」
監督: 松本花奈
出演:真広佳奈 / 小河原義経​/アベマサヤ(Utopia League)
​楽曲:Utopia League

ビールが飲める歳になって、かつて僕が憧れた大人になれているか振り返ってみると

必ずと言っていい程青かった時代を思い出す。

誰を好きでいるかよりも好きだと言える人がいる事に必死になっていたあの頃の自分。

くっついては離れて、離れてはまたくっついての繰り返しを笑って話していたあの頃の自分。

恥ずべき事ながら、あんなにパワーのいる事をよくやっていたなと我ながら少し感心する。

それでも確かに青いながらにとてつもなく愛した人もいた。

それが偶然にもこのショートフィルムにおいての2人の関係性に被ってくるのだ。

 

特に何も接点のなかった、僕が学校をサボった日にたまたまマクドナルドにいた女の子。

少し茶色い髪を後ろに束ねて、携帯をいじるでもなくシェイクを飲んでいたのを今も覚えている。

制服を着ていたからすぐにこの人もサボりだと分かった。

不思議な人だと思いつつ完全に一目惚れだった僕は勇気を出して話しかけて、

なんとか次に会う約束を取り付けて、時間をかけて時間をかけて僕がアナタを好きだという事を

伝えたのだけれど上手くはいかなかった。

年が変わると同時に遠くへ越してしまうという。文章にしてみるととてもベタな展開だけれど、

あの頃の僕にはどうしようもない事だった。今思えばそれでも好きだと伝えれば良かった。

それでも絶対に会いに行くと伝えれば良かった。

だけどそれが出来なかった。

 

ここからは少しショートフィルムの内容とは違うけれど、

出発の日に見送った車の中で泣きながら「またね」と言ってくれた顔が忘れられない。

その人とのお話はまだ続くのだが、それはまた別の機会に話そうと思う。

結果だけ記すと、その人とはもう2度と会うことができなくなってしまった。

 

だから、と言ったら語弊があるかもしれないが最後のシーンで

電車に乗るリコを追わなかったユウスケの気持ちは痛いほど分かる。

あの時分の男の子は無理だと思ってしまうと勇気が出ないのだ。

漫画やドラマでは素晴らしい人格者が素晴らしい青春を送っているが、そんなものは

絵空事だし妄想の類だ。このショートフィルムにおいてのユウスケがリアルな青春時代だと僕は思う。

決して気持ちの良い終わり方ではないだろう。

けれど、そういう事を経験して初めて、

ビールを片手に笑いながら話せる今があるのだ。今日までの僕に関わった

全てのものに感謝が出来るのだ。そしてまた、新しい人を好きになるのだ。

あの2人が今後どうなるのかはもう皆様の想像力に頼るしかない。

僕は自分の経験から、きっともう2度と出会う事は無いのだろうなと想像している。

そしてきっと、大人になった時には、あの頃は…と言ってビールを飲みながら

懐かしむ日が来るのだろうなと想像している。

ざっくりとしてしまうが、そういう意味でのBeer。なぜお酒の歌で高校生?と思う方もいるだろうが、

是非この文を読んだ後にもう一度目を通して欲しい。

音楽には目に見えないパワーが宿っていると私は信じています。

この物語では、ユウスケとリコという二人の少年少女がBeerという曲の中に

入り込んでいったほんの僅かな時間を描きました。

 

どうか皆様にも、大切な人と、大切な曲を聞く素敵な時間があることを願って。

映画監督:松本花奈

Lucky boy&Lucky girl
監督: 松本花奈
出演:真広佳奈 / 小河原義経

「ねえラッキーボーイ ラッキーボーイ」

僕が大好きな君は料理の1つも作れない。世間も知らない。

外見ばかりをやたらと気にして、およそヒロインにあるべく慎ましさや奥ゆかしさが欠如している。

それに胡座をかいても許されるだけの小さな顔、少しつり上がった大きな目、ぷっくりとした唇。

スラッと伸びる長い手足、細い腰と小ぶりなお尻。一目惚れだった。

僕の恋愛観は世間が風刺する様な、けれど全人類が必ず思っていること。

簡単に言えば横に並べて自慢できる様な女の子が好きなのだ。

 

君は僕より圧倒的に恋愛というモノを知っているだろう。だから不安になって問いてしまったんだ。

何で僕で良かったのか。何で僕を選んでくれたのか。他に良い人がいなかったのか。

「一緒に居て楽な人で嘘くさくない人が好き。ストレートに愛をぶつけてくる人が好き。

だからアナタが好きよ。」

そう気だるそうに君が答えると自分がとても愚かに思えた。同時に、死ぬまでずっと一緒にいたいと思った。

僕はただ君をモノにしたくて、綺麗な君を隣に置きたくて頑張ったんだよ。

それでも好きだっていうのは本当だったし、君が何かをしている姿を見て堪らなくなっていたし、

これは恋なんだなって思ったし、一生懸命に好きだと言って本当に良かった。

君がこんなことを思ってるんだって知れて良かった。

陳腐な言い回しをすれば「本当の愛に変わった」ってとこ。

 

だから、だから、だから、君と一緒にいられる僕はラッキーボーイなんだよ。

生きていて良かったって思えるんだよ。本当に、本当に愛しているんだよ。

 

「じゃあ私はラッキーガールだね」

「目的が何でも愛してくれる人がいてラッキーだよ」

とんでもない。君は生まれついたその容姿で既にラッキーガールだよ。

「一緒になれて良かったねラッキーボーイ」

そう。僕はラッキーボーイ。君のものだ。

 

クサい言葉ばかりでごめんね。僕らは必ず死ぬから、それまでは2人で居よう。

たくさん思い出も作ろう。その度に写真を撮ろう。いつまでも綺麗な君を残そう。

爺さん婆さんになってもまだ「ラッキーボーイとラッキーガール」でいよう。

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